2019.6.26


イタリアツアーものこり半分、今までわりと簡単なルートを沢山登ってきたが、そろそろこの旅の目標となるルートを見つけ挑戦せねばということになりトポを眺めた



【1枚の写真から】


すると、1年前のオルコツアーで山野井さんが登ったというあるルートの写真を思い出した


屋根のようにせり出したどルーフとそこに切れ込む見事なクラック、そしてそのロケーション


写真にはたしか7b+(5.12c)と書いており、そこにぶら下がる山野井さんがカッコよく映えていた



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(Legolandを登る山野井さん)


ほんの興味本意で聞いてみたら意外な返答があった


「ああ、あれね、失礼かもしれないせどグレードよりも全然簡単だよ。」


実は山野井さんは去年このルートをオンサイト(一撃)したらしい


トポをよくよく読み込むとグレードにはかなり幅があって7a(5.11d)と感じる人もいれば8a(5.13a)に感じる人もいるというが、多くの意見としてデシマル表記では5.12aと表記してある


ヨセミテのセパレートリアリティー(5.11d)とよく似ているが、それよりもやや簡単に感じる人がいるとも書いてある



【ツアーの目標として】

自分が今までトライしてきたクラックは垂直かせいぜい薄かぶりくらいのもので、最高グレードは5.11cだった


どルーフのしかも5.11d以上のグレードということでかなりビビってはいたが、山野井さんの言葉を信じ、ひとまずトライしてみることにした



【トライ開始】


レゴランドはキャンプ場からトレイルを15分ほど上がり取り付く


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(Legoland 1p目と2p目)


全2ピッチの構成で、1ピッチ目は6b(5.10c)


トライ初日は林さんにビレイしてもらい、2ピッチ目の取り付きまで5.10cのフィンガーを登って行く



噂通りかなり難しくもちろんテンション、2ピッチ目のルーフをやりたいだけなのでエイドで上がった



山野井さんは小さいカムをほとんど持っていなかったのでかなりランナウトして登っていてこっちの方が難しかったと言っていた



苦労しながらクラックの基部の斜めに吐き出されそうなレッジまで登りFixをし、林さんがユマールで登ってきた



一度目のリードはもちろんテンションだらけ、13mほどのルートに1時間はぶら下がってムーブを確認した



その夜からもちろん背中や腕が筋肉痛、この手のクライミングはもう何年もしていなかったので仕方ない



入念にストレッチをし、アミノ酸を飲んで寝た




【2日目】



翌日も午後にムーブ練習であがり、何とか前半の繋げが出来た




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出だしはC3(青)〜C2(黄)がたまにきくワイドハンドが8メートル、そこから乗っ越しは右の棚を一度持ち左手を奥に差してから手に足で右手もクラックの奥に突っ込みここからが核心



1メートルほどのC5サイズのワイドブランクを右手の引きつけで左手を思いっきり伸ばしハンドサイズへ、そしてバランスの悪いフェイスを3mほど登ると終了点である



3便ほどピンクポイント狙いで出したが、どうしても核心で一度テンションしてしまった



翌日は全身ヨレヨレで雨もパラついていたので、一日中レストにする事にし、身体の回復を待ち翌々日の夕方にまたトライする事にした




【3日目】



トライ3日目は山野井さんがビレイしてくれる事になり、1ピッチ目の右の簡単な草付きからロープを伸ばしユマールしてもらった



身体も新鮮でそれなりに自信もあったのでそのまますぐにトライする事にした



一便目は出発するとかなりスムーズに進み、核心まで意外と楽に到達した



しかし決めたカムとロープが足に干渉し左手の遠い一手を出すときに滑り落ちてしまった



回収をして少し休憩を挟み2便目、今度は足がバラバラに動き全く核心が出来なかった



短いがやはり強度が強い



エイド回収をしその日を終えた




【最終日】


トライ4日目、この日を逃すと翌日のスケジュール、また山野井さんのプロジェクトと、こちらにさく時間はない



朝一番で1p目をのぼり、山野井さんのユマールを待った



すると「カタッ、カタッ」と何か音がしたので終了点のレッジから顔を覗かせると、なんとシュタインボック(山羊)の子どもが5.8ほどのスラブの途中でこちらをジーっと見ている



こちらも驚いて見つめるとシュタインボックはその有り得ないほど急なスラブを前爪を器用にかけながら登って消えていった





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(シュタインボック)



そういえば山野井さんもLegolandをオンサイトした時にシュタインボックを見たという



これは幸運のシュタインボックかもしれない🐐



山野井さんも登ってきたので、そのまますぐにビレイしてもらった



実は前回のトライで右足ソールのアッパーゴムが剥がれてしまい、右足だけ偶然新品購入したTC Proに履き替え登ることにした



履き慣れたTC Proに比べるとかなり固めにかんじて違和感は凄いが、ズルッとクラックの中でずれるよりはマシだろう



一個目のカムからスリングを伸ばしトライは始まった


前半部分は一手一手と慎重に進んだが、緊張からか全く足と手がうまく決まらない


何度もあしを入れ直し乗っ越しの下まで進む頃には息がかなり上がっていた


核心直前で急に力が抜け、右の棚と次の核心のイメージが脳にダイレクトに飛び込んできた


「よし、行ける」


そう思い、ひと声叫んだあと思いっきり右足を頭より高く上げ、ヒールした状態で核心へと突っ込んだ


繋げてはじめてその遠いハンドジャムを捉えた


しかし両足の震えが止まらない


落ち着けと思いながらギリギリで青C3を突っ込み、その後のフェイスを勢いでねじ伏せた


頂上に着くと力が抜けて座り込んだ


岩の裏から山野井さんが「おめでとう」と言ってくれた



たかが13mほどの岩の裂け目だったが、自分のツアーを締めくくるほんとうに素晴らしいルートだった


二子などのフェイスの前傾壁は結構通っていたが、こんな傾斜のクラックはやった事がなかった


自分の可能性ってまだまだあるのかな


日本にかえったらまたいろんなルートに通いたいな、そう思った


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